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 電車の冷房              [近藤 武]


 私鉄が十メートルも離れていないところを走っていた少年期だったので、鉄ファンの端くれである。 昭和の四十年代前半、西暦で六十年代後半。 中学に入ってその私鉄で通学し始めた頃、関東初の冷房車両が通勤電車に登場した。 集中型(車両にただ一つの、いわゆる室外機)と、分散型(数個に分けた室外機を屋根に載せたもの)が何編成か走り出し、ひどく興奮した。 冷房車両に乗れたら、大当たり。 空気ばね以来だ。 親父にもらった手帳に、四ケタの車両番号を書き込んだ。

 そんな頃。 地下鉄は冷房化できない。 室外機から出された熱はトンネル、ホームの、いずれ閉じた空間に溜まるから、そう言われていた。 もともと地下洞窟と同じように、夏涼しく冬暖かいとされた地下鉄らしいが、構造を覆うコンクリートはおおむね石と同じように熱をため込み暑くなる。 こんにち、もちろん地下鉄もすべて冷房化され、ホームの利用者がうだってしまわないのは、ホームを冷やす空調だ。 電車に乗ってしまえば、走行中ふんだんに地下トンネル内に熱をふりまいている車両に守られる。 その熱は都市の地上に、噴水のように吹き上がっているのだろう。 


追記:
現在人類が手に入れている熱交換は他の動力などと同じく、いまだひどく効率が悪く、必ずその副産物は熱になる。 だから過度に集中が高まった都市では、蛇が自分の尻尾に食らいつくような事になる。 温暖化に加えての、ヒートアイランド。 熱都市現象だ。 もちろん駅までの暑い道を歩き、車内の冷房に救われている。 与えられたものをほどほどに使わしてもらいながら、もっと前に進めと聞こえる。 


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