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五輪エンブレム、パクリ疑惑          [才蔵]


 1980年代、若かりし頃。 ミュージシャンとして生活していた頃の話しである。 今は亡き松BみKさんのステージのバックで、何回か演奏したことがあった。 大阪への行き帰りの新幹線で隣の席になったので、若くて頭の足りなかった故、つい感じたことを口ばしってしまった。 「『M夜中のドア』は、キャロルベイヤーセイガ―の ”It’s the fall in love” とそっくりだね」、と。 彼女は、「H哲司さんは、結構そっくりなアレンジとか多いから」と、うまく受け流してくれた。 彼女には、全くの責任が無い。 デビュー曲で19歳の女の子が、例えそれに気付いたとしても、日本の音楽界、芸能界で何か言えるはずもない。 無神経な事を言ったと思うが、この様な例は日本のこの業界で枚挙にいとまがない。

 旧・東京12チャンネル(現・テレビ東京)で、洋楽のベストテン番組があり。 そこで、毎回日本のアーティストによる洋楽パクリの紹介があった。 ある回では、パクリ元の外国人アーティスト本人がゲスト出演していて、本気で怒りだすという場面もあった。

 二十歳そこそこのミュージシャン駆け出しの頃、キーボードでアレンジャーでござるという輩が述べるには、「筒M京Hさんは、凄い! 膨大にある自宅の外盤レコードからマイナーなところを選んでそのメロディーを採譜して、それを逆から読んで曲にしちゃう。」 それは巧妙なパクリではないのか?と思ったが、ミュージシャンを選任する権限を持つアレンジャーには、一言も疑義を呈するわけにはいかなかった。

 今回の2020東京オリンピック・エンブレムのパクリ疑惑報道を聞いて、これらを思い出してしまった。 デザインにしろ音楽にしろ、偉大な先達の残したものと無縁と言う事はありえない。 影響を受けた、インスパイア―されたと言う事は当然だろう。 しかしそれは自身のものとして十分な咀嚼が行われたのち、の話しではないだろうか。 日本のいわば「おりてくるもの」に対する敬意の無さは、いまだにこのようなものかと、嫌な気分にさせられる。


追記:
この項を書くにあたり、久々にU-TubeでM原Mきさんを見た。 歌がうまく、美しい。 何回かでもこの様なシンガーのバックを務められたことを、光栄に思う。 くり返すが、アレンジャー、ディレクター、プロデューサーといった人間たちのやる事に、彼女の責任は無い。


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