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かつての実家              [近藤 武]


 仕事の空き時間に、昔住んだ所を訪ねる機会があった。 車で動いていて待ち時間をつぶすため、現場にほど近い中学二年から二十四まで住んだ所に行った。 継母が張り切って設計したコンパクトな二階屋は取り壊され、隣の同じような家の敷地も合わせたところに、新しい家が建っていた。 裏にあった国有地、小さな小さなお宮さんがある窪地は周りと同じ高さになり花が飾られていた。 ゴミ捨て場のようになっていた頃を思い出し、よかったなあと思う。

 家の周りは銭湯も無くなり変わっていたが、隣接する団地は昔のままで、棟の間にある金網に囲まれた運動場にある玉当て的のペイントも当時と同じだった。 秋雨にけぶる団地を車で抜けると、言葉にし切れない情感が溢れてきた。  


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