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 四時間かかっていた、新幹線              [近藤 武]


 1964年10月初旬。 祖母とその田舎に帰るのに途中まで、出来立てほやほやの新幹線に乗った。 東京から新大阪までだったが、開通当初はしばらく三時間ではなくて、四時間かかっていた。 車内にはアナログの速度計があって、食い入るように見た覚えがある。 食堂車は無く、ビュッフェと呼ばれる車両があった。 食堂で座って悠長に食事などしている暇はないという事で、カウンター式の軽食を出すサービスだった。 電子レンジという、当時最先端の設備が備えられた。

 空気ばねは勿論の事、ATS を飛び越え ATC 。 架線は合成コンパウンド等と、日本中の少年が新幹線のオーソリティーだった。  日本では敗戦後、たった十九年で 「夢の超特急」 が実現し、アトムが産声を上げ、西洋ではビートルズが出現し、アメリカはベトナム本格介入直前である。 


追記:
通信衛星による放送や、有人地球周回飛行。 アポロ計画が始まった時期でもある。 宇宙時代、科学時代と。 人類は輝かしい明るい未来を、信じて疑わなかった。 


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