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 直線の国境線              [天成人後]


 世界地図を見ると、海岸線に劣らない美しさを持つおおかたの国境線に反して、ズバッと緯度経度で線引きしたような国境線に出会う。 中東、アフリカ、ニューギニアにも。 州境と言う事でいえば、カナダを含めて。 北米は、その宝庫だ。

 北アメリカ大陸は原住民を半ば殲滅し白人国家として独立したのだからいいだろうが、ルネサンス、産業革命を後ろだてにして植民地支配を受けたところは、現地社会が残り、いまだに血で血を洗う紛争が頻発してしまう。 北朝鮮が核ミサイルでどれだけ脅かそうが、一人の死者も出ていない。 国対国の古典的な戦争ではなく、内戦やテロ、紛争によってどれだけの死者が出ているか。 

 原爆登場で近代は幕をとじているのであり、朝鮮戦争やベトナム戦争はその残り香のようなものだ。 使えない兵器に血道をあげる人類社会というのは、いかがなものか。 彼らの言う、 現実を見ろ! という伝でいけば。 もはや西だの東だのいう段階は過ぎたのだから、文化の多様性を認めないポスト近代はあり得ない。 人類全体に帰属意識を持ちつつ、民族と文化を最大限尊重する。 これは背反しない。

 アラビアのロレンスという映画があったが、イギリスが中東に進出した頃の話と記憶している。 ロレンス氏は見上げた人物だが、石油メジャーを抱える英国のドロついた部分の印象が残る。 フランスは、旧宗主国として北アフリカに大きく関わっている。 対アラブという風にも見えてくるが、英仏二国の近代十字軍が、白人、ヨーロッパ代表として大活躍したようだ。

 自然の風土によって形が決まるはずの国境線が直線というのは、おかしい。 


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