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 いちご白書              [近藤 武]


 平成二十四年(2012 年) 八月十日、夏の盛りの金曜日。 渋谷で所用を済ませると、時刻はすでに六時を回っていた。 銀座線の改札に向かうと、いつにない人混みでごった返している。 若い浴衣の女性が多い。 すぐに、花火大会だろうと思った。 電車に乗ると混雑はそれ程でもなく、座ることができた。 正面には、浴衣姿のかわいらしい娘さんと大学生くらいのカップル。 「みんな花火大会に行くのかな?」 と話していたその娘たちは、外苑前で降りた。

 その日は、ついに消費増税法案が参院を通過した日で、国会方面に向かいながら国税庁を含む財務省の建物を、ずっとにらみつけてしまった。 昼には、韓国大統領の竹島上陸パフォーマンスがあり、夜中にはオリンピックのサッカー三位決定戦が日韓で行われた日だ。

 まるで花火大会と週刊誌で揶揄された原発再稼働反対デモだが、大いに結構。 世の中を変える何かを、女性たちは持っている。


参照:
≪ 世の中を動かす、美意識 ≫
http://okashina-teiougaku.blog.so-net.ne.jp/2010-12-07


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