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血統書付のスピッツ              [近藤 武]


 犬と言えば、雑種だった。 ちらほら出だした金持ちが、血統書付の犬を飼うだけで。 日本の犬は、何とも言い難い姿形の雑種がほとんどだったのだ。 生まれる子犬は今のように犬種で姿が決まるのではなく、出たとこ勝負の見た目だった。 いまでは、外を出歩く猫にこれがまだ少し残っているだろうか。

 当時言われた事に、「純粋種は体が弱い、雑種は強い。」 というのがあった。 遺伝として、遠いところからの掛け合わせが優秀であるというのは、確かに広く知られた話だ。 人間のハーフは、美しく聡明であることが多いような気もする。

 東京オリンピックの頃の日本では、犬種の付いた犬としては。 スピッツ、ブルドッグ、シェパード。 しゃれたところで、せいぜいコッカスパニエル、プードル、ペキニーズぐらいではなかっただろうか。 最大の犬は、セントバーナード。 最小の犬は、チワワ。 少年マガジンやサンデーのページの端で、学んだ。

 和犬についての血統書は、闘犬用の犬あたりでないとあまり聞いた事が無いような気がする。 土佐犬、秋田犬など血統書付でうんぬんされたと思うが、柴犬はどうだろう。 ただ柴犬の雑種となると、巷にあふれていたのではないかと思われる。 日本人が飼う犬について考察してみれば、きっとなにか日本人について見えてくるものがあるだろう。


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